「ねぇ、玲美? 今朝のこと、信じる?」


あっという間に時間が過ぎ、放課後になった。


一日中、絵麻のことが頭から離れなくて、早く帰りたかったのに今日は教室の掃除当番。


夏帆とあと四人の班員と一緒に教室を掃除する。


そんなとき、急に夏帆が尋ねてきたのだ。


「絵麻のこと……だよね?」

「うん……。ねえ、変なこと起こらないよね?」


なんだか、いつもの夏帆らしくなかった。


オレンジ色の夕日に照らされた夏帆の顔は、不安が満ち溢れたような顔。


眉の外端は下がっていて、端から見れば困っているような顔。



「ど、どうしたの? 夏帆らしくないよ?」

「あたし、嫌なことが起こりそうな予感しかしないの。ねえ、大丈夫だよね!?」



私の口から聞こえる「大丈夫だよ」と言う言葉を待つ夏帆。


……でも、私には分からない。



だから、夏帆。ごめんね。



「分からない。もしかしたら……」

「……だよね。ごめんね、不安になってた」



夏帆は落ち着いたみたいだけど、私も不安だった。


――――ただの悪戯には、思えないんだ。


何かが起こる気がして、落ち着いていられない。