いつも通りの朝。


「玲美〜! もう、早くご飯食べなさいよ〜!」

「ちょっと待ってよ! 準備中なーのー!」


階段の下から聞こえる母の声に、私も大声で答える。

アイロンがあったまったのを確認して、結んだ髪を一気に軽く巻いた。



「あー、もう! 時間ないからいっか!」


学校には、特におしゃれしていく必要もないし。


そんなことを考えて、私はバッグを手に取った。


パンっと、なんとなくスカートを払って、部屋を出る。


廊下に出ると、木の香りがふわりと鼻をかすめた。



「あ、玲美」

「お姉ちゃんおっはよー!」

「今日も元気だなあ。ほら、ご飯食べてきな」

「はぁーい」


お姉ちゃんに背中を押されるように階段を駆け下りて、ダイニングの食卓に着いた。


お母さんがすぐにご飯を出してくれた。



「何飲む?」

「んーとねっ、ホットミルク、蜂蜜入りで!」

「はいはい」


私の前に出てきたのは、厚く切られた食パンにピザソースをぬって、チーズやソーセージやらの具材がたくさん乗ったピザトースト。


「美味しそお〜!」

「はい、ホットミルク。あんた、またそんな派手な格好して……。小さくて健気な玲美は、」

「これくらい普通だってばあ!」


ピザトーストを口いっぱいに含んで、ホットミルクを飲む。


あーあー、流し込んで。なんてお母さんは言ったけど。



「仕方ないじゃん。時間がないんだから……」


小さく呟いて、ピザトーストを飲み込んだ私は、またピザトーストを口に運んだ。