「麻由香....こっち向いて....」

そう言われて光樹君に顎を持たれる


「キスしていい?」


付き合って初めてのキスじゃないけど
2人っきりの空間がなんか緊張した


「っ....んっ」


なんかいつもと違うキス


付き合ってから気付いたこと


私はあまり光樹君に抱きしめられるのは
好きではない


鼻をツンと着くようなタバコの臭い
タバコの臭いはあんまり好きじゃなかったからやめてほしいとお願いしてみたけどやめてはくれなかった



話をはぐらかされて流された


「麻由香....愛してるよ」


その言葉を放つと


光樹君の手が私の制服のブラウスのボタンにかかった


「ぇ、な、なにし....」


手をおき押し返そうとすると


「だめなわけ?」


声を聞いた瞬間わかった


やばい


「俺とじゃヤりたくない?」

その声の低さ....表情に体が固まる



「ちが、違うよ...」




「じゃあ、いいじゃんか」


そういいまたブラウスのボタンに手をかけ器用にはずしはじめた


「やっ!」


思わず光樹君を押し飛ばしてしまった


「あっご、ごめんなさいっ」


慌てて謝ると


ふらっと立ち上がった光樹君の手が



パァァンッ


静かな部屋に乾いた音だけが響いた


「ぁ...」


叩かれた頬が痛む

私が叩かれた頬を抑えて

唖然としていると


「あっごめん麻由香ごめん」


光樹君が我に返ったように

突然謝ってきた


初めて叩かれた

初めて男の人に手を挙げられた


今だに叩かれた頬が痛む


このことが私たちの関係をガタガタと

音を立てて崩して行った