「どうしたの?香代、元気ないじゃん」


美由紀がトイレの鏡で前髪を直しながら言った。
休み時間は、決まって行動を共にしていた。

「なんでもないよ」

さすがに千賀に怒られたとは言えなかった。
しかし、このまま引き下がれない香代は美由紀にある嘘を言った。

美由紀の表情が曇る。