「なんでもねえよ。」

千賀は机に寝たまま言った。
表情を隠しているようにも見えた。


香代の心配は一つだ。

本命の美由紀は仕方ないが、自分以外に浮気相手がいるのではと疑っていた。
それだけは許せなかった。

「ねぇ、教えてよ」


香代が千賀を起こそうと肩に手を掛ける。
千賀は手を払いのけボソリと言った

「うぜぇ…」


香代の目に涙が溜まる。
もし、授業中で無ければ泣き出す勢いだった。