朱鳥はなにもない空間に話しかける。



ほんの少し、痛みを堪えた顔をして。




「レーヴ、なにがあったの?」



レーヴと言うのは夢の精霊。

今回の夢はレーヴが見せたものだ。




ゆっくりと姿を見せたレーヴは、朱鳥の立てた膝に降り立った。




背丈と同じくらいの長い髪がサラサラと揺れ、女神を彷彿とさせる衣装がふわふわと踊る。



「朱鳥、詳細は言えない。未来を変えてしまうかもしれないから。


かの地で待つ者がいる。黒い者が目を覚ましたら見つからないように。


今言えるのはこれだけ」



鈴を転がすように言ったレーヴは目元を険しくした。


「朱鳥達はそれほどでもないけど、ノーマルはわからない。目を離さないことね」



ノーマルが危ない。



つまりそれは、


「妖異が関係してるのね」


レーヴはも無言で頷き、ふっと姿を消した。