「教科書は全員に行き渡ったかしら?じゃ、もう帰っていいわ。明日からオリエンテーションだから、楽しみにね。さよならー!」

山本が無駄の無い喋りをして、さっさと教室をあとにした。

そしてすぐに高橋は立ち上がり、八神のもとに向かった。

「いやー、真島チャン、近くで見れば見るほど可愛いぞー!!」

八神はけらけら笑いながらいった。高橋は最高に羨ましがり、八神を軽くパンチした。
すると、ゴリ松のデカイ声が聞こえてきた。

「ねぇー真島さん?あなた、首席なんでしょー?すごいねー‼︎あ、私、反松。ゴリ松でもいいわーきゃははは!」
他の女子も、真島を囲むようにして話しかけている。メルアド、LINEのID、好きなもの等質問責めになっていた。
「ねぇ、真島さんたら!きーてるぅ?」

女子たちはニコニコしながら真島に質問を投げかける。
真島は口をゆっくり開き、答えた。

「悪いけど、私急いでるから。」

女子たちが静まりかえった。高橋も、八神もポカンとしている。
そして、真島はさっさと教室を出て行ってしまった。

すると、誰かがいった。
「…何、あいつ。」

すると、だよねあの態度はないわとか、調子のってるだとか真島への悪口大会になってしまった。

「あいつ、明日からハブね!」
誰が言うまでもなく、そんな空気になった。しかし、

「いや、緊張してただけだよ!こんな多勢でさ!明日、もっかい話してみよ?ね?」
とゴリ松が言うと、よく考えたらそうかもー、そうだよね、という声があがり、悪口大会はお開きになった。

高橋は初めてゴリ松をすごいと思った。