学校を出ると、高橋も八神もなんだかあくびをした。いろいろあったなー、なんて。
高橋は途中で八神と分かれ、ひとりで帰路についた。
途中の公園に、誰かがいた。目を凝らすと、それは真島だとわかった。
高橋は公園にはいり、真島に声をかけた。不思議と緊張はしなかった。
「よー、真島サン。」
よく見ると腰くらいまで濡れている。また、池にはいったのだろうか。
「高橋君…だったっけ?なんの用?」
真島は睨みつけるように高橋を見た。
高橋はいきなり緊張してきた。
「い、いや、なんで濡れてんのかな、って。」
真島はすっと池をさした。
「おとしちゃったの。」
「え?」
「池に、その、青いハンカチ落としちゃって。探してただけよ。」
「そっか、あ、見つかった?」
そこまで言うと、真島は凄く悲しそうな顔をした。
「見つからないのよ…。もう、諦めようかと思ってて。」
高橋は池まで走り、池に足を突っ込んだ。
真島は驚いたように高橋に言った。
「何してるの!?風邪ひいちゃう!」
高橋は言った。
「大丈夫!俺、人より強いから!」
真島も池に入って、高橋に近づいて言った。
「そんな、悪いよ…はやく上がったほうがいいわ。もう、諦めたから。」
しかし、高橋は真島の言葉など気にせず、探し続けた。
「あ!これ!?」
大きなゴミの下に挟まっていた青いハンカチを引っ張り出し、真島に見せた。
「……ありがとう。もう、見つからないかと思った。諦めてた。」
真島はハンカチをぎゅっと握りしめた。
高橋は、そんな真島より可愛いものはこの世にいないと、そう思った。
そして、貸してたゲーム返してもらおうと高橋を追いかけていてたまたま現場を見ていた八神は、その甘酸っぱい空間に、顔をしかめた。