まさかそこまで彼の足が悪くなっているとは思わなかった。
わたしは、言葉を失った。
そんなわたしを見て、彼は困ったように笑った。
「おっしー、そんな顔しないで。プロは夢を売る仕事だからね……これは隠しておくつもり。」
だから秘密にしてね、と頼まれて…わたしは頷いた。
自分の痛みや体のことよりも…夢を売る自分の仕事を大切にしている。
彼のプロ根性を前に…わたしは頷くしかなかった。
「無理しないでくださいね!」
ってわたしは念を押して、彼はウンウンと頷いたけれど……
このやり取りに意味はないと思う。
彼はそういう人だ。
彼は…自分の体が壊れるまで、こういうことを続けていくのではないかと心配になった。
彼の返事が怖くて聞けなかったけれど…。
帰路につき遠くなる彼の背中を、見えなくなるまで見つめた。


