翌日、一番に契約更新を終えた彼は、地元新聞のインタビューを受けていた。
その新聞を、食い入るようにわたしは見つめた。
『このチームで、必ずあの場所に戻る。諦めることならいつでも出来るから、諦めない。』
あぁ……彼らしいと思った。
きっと彼はポジションも、出場機会すら、他人に与えてもらうことを良しとはしないだろう。
彼は、高い志を持ったままだった。
このいつ沈んでもおかしくない泥舟に残るには勿体ないくらい。
そんな彼が、ここに残って良かったって思ってくれるようなチームを作りたい。
彼の夢を、叶えたい。
わたしが出来ることを精一杯やって、彼を幸せにしたい……
それは、わたしの新たな目標だった。
わたしの恋心は、時が経つにつれて形を変えて……。
「彼が幸せであること」だけを願うようになった。
その心が「愛情」だと気付くほど、まだ大人になれてはいなかった。


