「…誰だっけ?」



「ヒドッ!咲蘭ちゃん、ひどいよっ!!」



「うそだよw坂城くんもおはよ~」



俺たちは、笑い声をあげた。いつもと同じ朝だ。



俺たちと咲蘭が出会ったのは、高校2年の春。



腰まであるサラサラの髪、整った顔立ち、



そして、誰が見ても可愛らしい笑顔。



俺は彼女にひとめぼれをした。



けれど、それは真也も同じだった。



「なぁ、龍。咲蘭ちゃんってかわいくね?!俺、好きになっちゃった!」



この瞬間から俺の恋は終わっていた。



当たり前だ。だって、真也のことは裏切れない。



「お前、今まで好きな人とかいなかったもんな!頑張れよっ」



応援するしかなかった。



俺は、真也に勝てやしないんだから。