あの時に戻れたなら









驚いて身体を起こした。


無理もないだろう、だって正面には片時だって忘れることが出来なかった“ナツくん”がいたのだから。



「……そんなに大声上げないでよ。」



これが上げないでいられると思います?


何も言えないで口をパクつかせていると、ナツくんが口を開いた。



「びっくりした。川崎さん、こんなところで寝ていたら危ないよ?」



そう言って、私の制服に纏わりつく草を払いながら咎めるような声を出した。




こんなところ?


不思議に思いながら辺りを見渡すと大きな川が目に留まり、私の座っている場所は芝生になっている。


そこで、初めて状況を理解した。



ここは、私とナツくんが仲良くなるキッカケになった場所だ。