先ほどよりも暗くなった空は、今にも泣き出しそうで。
ナツくんもこんな私を見て悲しんでいるのかな、とか思ってしまった。
でも、しんどい。
全ては、私の中の空想だから。
こんな気持ちが続くなら、いっそのこと…
「───ナツくんと、出会わなければ良かったのかな。」
「……。」
「そしたら、こんなに辛くなかったのに。」
「…ねえ、鈴ちゃん、口を開けて。」
「え?」
ガサガサと包み紙を開ける音がしたと思ったらコロンと口の中に甘い味が広がった。
あっ、私の大好きな桃の味だ。
「……出会わなければ良かっただなんて悲しいことは言ってはいけないよ。」

