あの時に戻れたなら







「─────やっと笑った。」



「え?」



「鈴、もう泣かないで。笑ってよ。オレね、鈴には笑顔でいて欲しいんだ。」



「ナツくん……。」




暑くも寒くもない不思議な風が私たちを包み込んだ。


この風…奇妙な感じがするけれどなんか嫌いじゃない、むしろ好き。


なんでかな、ナツくんと一緒だからかな。




「……たくさん、泣かせちゃってごめん。でもね、オレはもう“ココ”にはいないんだ。」



「嘘、ナツくんはちゃんといるじゃない!今、私の目の前に。…違うなら、この世界はなんなの?」



私がそう問うと、ナツくんは答えずにただ困ったようにはにかんだだけ。


代わりとでもいうように、私の頬に手を当てて口を開いた。




「ねえ、鈴。オレのこと好き、?」



「…え?」



「…好きっていって」