私の記憶が正しければ、あの後2人で河原で数時間、たわいのない話をしたんだ。
話題は、なんてことのないモノだったんだけどすごく楽しかったのを覚えている。
今となっては宝物みたいな記憶。
だからこそ、辛かった。
ナツくんとここで話したら、また同じことを繰り返してしまう、そんな気がして。
ナツくんが悪いんじゃないよ、
でも、ナツくんは私をまた置いていってしまうんでしょ?
「───ちょ、待って。」
「いやっ……。」
ナツくんの引き止める言葉とともに手をぐいっと引っ張られた。
バランスの崩した私をそっと抱き留める。
その腕が、ナツくんを余計リアルに感じてしまい頬が熱くなった。

