「さーて、帰りますか」

「うんっ!」

元気に返事した理恵。
さっきの感じとはうって変わって穏やかな様子で
あたしたちは学校の門を出た。

「でもさ、ほんとにこの学校って
 怪談話ないよねー」

「理恵、さっきもその話したじゃんー」

なんか理恵・・・おかしい?

「でもでも、ほんとにないんだもん!」

「そうだけどないならないでいいんじゃないの?」

あたしは怪談話が嫌いなわけじゃないけど
同じ話を何回もされるとイライラする

あたしはうじうじしてるやつが一番嫌いだ。

「・・・そなんだけど・・・」

まだ何か思うことがあるのだろうか?
口をもごもごさせている。
何か言いたげだ。

「まだ何か言いたいことあるの・・・?」

あ・・・しまった。
ついついきつめに言ってしまった。
理恵はこうゆう口調が苦手な人間だ。
もし何か言いたいことがあるなら、オブラートに包んで言わなければならない。
ちょっとめんどくさい女子だ。

「そんな・・・強いよ」

思った通り、理恵は今にも泣き出してしまいそうだった。

「ごめん、理恵。泣かないで?」

「うん・・・」

理恵は涙目になっていた目に自分の袖口を押し当てていた。

そして終始無言のまま、理恵の家の前まで来た。

「・・・じゃ、じゃあまた明日・・・」

「うん、バイバイ」

そう言い残してあたしは足早に理恵の家を後にした。