「は、はい……」
試着室から出てきた冬木さんは、結愛とは違う衣装を着ていた。
真っ黒な髪によく栄える真っ赤な浴衣。
浴衣の丈は膝より少し下くらいで、同じく下駄を履いている。
帯は黒で、左前で結ばれていて、余った帯がだらんと垂れている。
「もう少し肩のとことか裂け目入れてー。」
「メイクもお化けっぽくしないとだね。」
「でも、何かあんまりお化けっぽくなくない?」
「可愛いから大丈夫でしょ!!」
「だよね~!!!!」
ワイワイと話す女子を、男子達がじっと見つめてる。
まあ、確かに2人とも似合ってるけど……
すると、ちょこちょこと走って来た結愛は俺の袖をつかんで言った。


