今日も、眠れないか…。
ぽつりと口に出す。こんな夜は誰かと話たくて堪らなくなってしまう。暇潰しでいいから嘘でもいいから誰かに大丈夫だといってほしくなる。…同じ様な人が何人いるのだろう。めぐむはふと思った。今まで眠れなくてもその間、他人のことなど微塵も考えたことなかったのだ。徐にケータイで検索してみる。『眠れない 暇 話し相手』検索。出てきたのは大量のチャットサイトだった。どのサイトもセックスが目的だったり、それに絡む話し相手の募集で溢れていた。めぐむはそれらを眺めながら溜め息をついた。めぐむが望む言葉を言ってくれそうな人はここにはやはりいないのだと。くだらなさと虚無感を感じサイトを閉じようとした時だった。

『誰か穏やかに癒し合える人、待ってます』

そのたった一行にめぐむは惹かれ、チャットの扉を開いた。
『私と穏やかに他愛ない話しませんか』