――授業後





掃除場所の体育館に向かう途中、階段下のたまり場で佐野が誰かともめているような声がした。





「おっせーんだよ、バカ。お前それ買うのにどんだけ時間かけてんだよ。」



「ごめん………」



この声………。



「お前はパシられる以外に存在価値ねーんだぞ?(笑)」



「……ハハハハハハ(笑)そうだった(笑)」



ガタン!!/////



物と物がぶつかるような音がして、私は思わず階段下を覗きこむ。



「っ!!…………」



そこにいたのは佐野に睨みつけられている龍だった。





「ヘラヘラしてんじゃねーぞ…。」






その時の佐野の顔を見た私は、思わず身震いをした。


あの顔…………


人をバカにした目………


威嚇(イカク)的な態度……





思い出すのは昨日のことだった。



怖くなった私は、掃除場所とは真逆の教室へと無条件に走り出した。





怖い…………。