「愛子ちゃん………私に何か隠してない??」



「え!!??」



「だって話ししてるときボーッとして『何の話だっけ?』ってなること頻繁にあるし、
今日も朝からずーっと様子変だよ?」



「そ、っ……そう?(笑)」


「笑って誤魔化すのなし!!いつもそうやって笑って誤魔化してる…。」



「………。」



「教えて欲しいな。
何か嫌なこととか、困ってることあったりしない?」





どうしよう。
こんなにちゃんと面と向かって私を心配してくれる人、はじめてかもしれない。





違う…





ヒカリ以来だ。


千笑はヒカリと同じ目をしているように見えた。私の隠し事や嘘を、すぐに見破る。





でも…………


だからって何から話せばいいのだろう。


私が佐野にイジメや性的暴力を受けてること?

佐野の彼女に勘違いされて叩かれたこと?

それとも………





自殺したうちの生徒は実は私の友達で、しかも遺書には私がイジメてたって書かれてたこと?





考えれば考えるほど、伝えられることなんて………





ひとつもない。





それに、

伝えたらまたひとりぼっちになる気がして怖かった。





「……ごめん。

ホントに何にもないんだよね!!(笑)」



「ホントにそうなの??」



千笑が疑い深そうに私の顔を覗きこむ。



「うん。」



「じゃあ何でボーッとしたりしちゃうんだろ…。」



「昔っからなんだよね(笑)何か集中力ない見たいでさ、私。」



「でも今日の授業すごい集中してたよ!放課もずっと教科書とノートにかじりついてたし。」



「それは………たまにはいいじゃん。真面目な日があっても(笑)」



「そうだけど………。」



///キーンコーンカーンコーン///



「「え!!もう昼放課終わり!?」」





話はそこで中断され、
私たちは弁当を片付け、大慌てで教室へ戻った。