佐野たちの談笑が一区切りついたところで、佐野が切り出す。
「じゃあそろそろ……な。」
そういって馴れ馴れしく私の肩に手を置いてくる佐野。
もう幾度となくこんなことをされただろうか。
なぜ私はこんなことに慣れてしまっているのだろう。
そんなことを考えている内に、なんだかバカらしくなってきた。
私…………………
逃げようと思えば逃げられるのかもしれない。
ドアは私のすぐ横。
走れば行けるのかも…。
「じゃあ俺達行くわ。」
「見張りはタクミと龍(リュウ)でヨロシク!」
龍と呼ばれた私と同じクラスの男子は、見張りが初めてらしく、少し戸惑っているようにも見えた。
「お、おぅ…」
「了解。」
そういって二人は教室の外へ出ていった。
そして戸が閉まると、佐野が私を押し倒そうとする。
情けない…………。
結局また、汚されて終わるんだ………。
