「久しぶりに相手してよ。


愛子ちゃん?」





掴まれた右手は震えだす。


そこにいたのは、





佐野海斗だった……。





「なんでそんな怖い顔するの?


身体を重ねあった仲じゃ……」

「そんなことしてない!!!」



思った以上に大きな声が漏れ、佐野も私も驚く。

しかしすぐにいつもの冷静な顔に戻り、私を追い込む。



「周りが見るでしょ。静かにしないと……」


そう言って私の身体に触れてくる。





汚い手で触らないでよ…。




もう勘弁して……。





「無理だよ。」


「ぇ……?」


私は心の声が漏れたのかと思い、驚く。





「お前が俺から逃げるなんて。」





そう言い切る強い視線に、私は声が出なかった。




「行くぞ…。」


私は手を引かれるまま、着いていくことしか出来なかった。





従わないと……



従わないと私は……





やっと手に入れた平和な日々を失ってしまうから…。