千笑ちゃんのおかげで、この教室内に私の恐れている佐野と彩乃のがいるということを、
今日は忘れられた。
―――しかし、
それも長くは続かなかった。
一日はあっという間で、気づけば掃除の時間。
そこでやっと私は悪夢を思い出した。
そうだ。
これからまたあの体育館へ行かなければいけない。
時は待ってくれず、千笑ちゃんは自分の掃除区域に行き、私も移動することにした。
「「よしっ!!」」
意を決して体育館に入り、昨日のようにモップをかけ始める。
「ハハハハハハ!!なにそれヤバい!!」
「だよね!!」
あの二人が来た。
ドキドキし、震える手を押さえ、平然とモップをかけ続ける。
声は次第に大きくなり、近づいて来るのがわかる。
しかし、
中まで入って来ない。
「ぇ……」
こっそり入口の方に目をやると、彩乃たちではなく、後の二人が体育館にいた。
その二人は、モップを手に取り、掃除を始めた。
今日は交替か…。
良かった…。
そのまま時間は過ぎ、彩乃たちが何かしてくることもなく、掃除は終わった。
もしかして、彩乃は佐野と仲直りしたのかもしれない。
だといいんだけどなぁ…。
このまま私にも平凡な日々が戻って来るのかもしれない。
なんて期待を胸に、私は教室へ戻った。
