スタッスタッスタッ…………
誰かが近寄ってくるのがわかる。
でも顔は上げない。
だって私に話しかける人なんていないから。
「あのっ……」
「ぇ…………」
不意に顔を上げると、そこには一人の女の子が立っていた。
いかにも静かそうで、可愛らしい小柄な女の子。私の話しかけやすいタイプだ。
「おはよう…!」
彼女は私に挨拶をしてくれた。その表情からは、勇気を振りだしてくれたのが伝わってきて、なんだか心が温かくなった。
「おはよう!」
すると彼女は安堵からか、笑みがこぼれた。
つられて私も笑顔になれた。
「私、千笑(チエ)って言います。……名前は………」
「愛子。よろしくね。」
「愛子ちゃん…」
「千笑ちゃん?」
「千笑って呼んでほしいな……。」
「じゃあ私も愛子で!」
「私呼び捨てとかしたことないから…。」
「大丈夫大丈夫!じゃあ馴れたらでいいから。」
「うん。」
千笑ちゃんはニコニコとしていて、普段誰かから笑顔を向けられることなんて滅多にない私は、戸惑ってしまう。
でも良かった…。
この子となら仲良く出来るのかもしれない……。
この子となら、
きっと―――――
