//ドンドンドン//
「彩乃(アヤノ)!!やばいよ、先生来た!!」
彩乃と呼ばれた彼女の手は止まり、私は助かったと思った。
「絶対許さないから……。」
そう言い睨み付けた彼女は扉を開け、出ていった。
「お前ら掃除終わったのか、」
「終わった終わった〜」
「全然綺麗になった感じしなぃ……………」
徐々に声は遠くなり、私だけが倉庫に残された。
頬は叩かれたせいで熱を帯び、熱かった。
そして……………
佐野が許せなかった。
私はアイツに遊ばれただけなのに……アイツになんで私が惚れるわけあるの?……
「ハァ…ハァ…ハァ…」
胸が苦しくなる。
これから佐野に加え、あの彩乃と言う子からも苦しめられるのかと思うと、
怖くてたまらなかった。
目の前がクラクラし始める。
やばい。
またあの雨の日のように叫びだしてしまいそうな自分を、今度は自ら必死に押さえて、何とかあの状態は回避できた。
右手を押さえ、あの日の彼の温もりを思い出す。
「泣けばいいから」
そんな彼の言葉を思いだし、私は静かに涙した。
