部室の中の恋人

そんな私に


「さっき言った言葉は嘘じゃないよ。それに『ごめん』って言ったのは、麻美佳ちゃんに先にちゃんと気持ちを伝えるんじゃなくて、瀬戸がいる前であんな形で俺の気持ちを言ってしまった事だよ」


雨宮先輩は、私の目を見てはっきりと言う。


「俺ね、麻美佳ちゃんに告白された時は、麻美佳ちゃんの事を妹みたいにしか思っていなかった。それに、あの時はクラスの子の事が好きだと思っていた」


そして、雨宮先輩は私の頬に手を添えたまま、私の目をまっすぐ見つめる。


「だけど、あの時……、麻美佳ちゃんが俺の前から走り去って行った時……。その子と拓真が付き合う事よりも、麻美佳ちゃんが俺から離れていく方が嫌だと思った。だけど、それは、妹みたいに可愛がっていた子が、俺から離れて行くのが寂しいだけだとあの時は思っていた。だけど……」


そこまで言うと、雨宮先輩は、私の腕を掴む手の力を強くする。