部室の中の恋人

「せ……せ、と?」


戸惑う私。

そんな私の耳元で


「なぁ、まみ……。俺の事好きになってよ……」


……えっ?

突然の瀬戸の言葉に驚く。

驚き過ぎて、言葉が出ない。


すると、瀬戸は抱きしめていた腕の力を緩める、そして、私をまっすぐ見つめ


「俺、まみの事が好きなんだ。まみの事、大切にするから……。俺と付き合って。先輩の事、忘れさせるから」


そう言って、瀬戸は私を抱きしめる。


「……瀬戸……」


気持ちは嬉しい。

今まで誰かに『好き』だなんて言われた事がないし、それに、こんな風に思ってもらえて嬉しい。


でも……

瀬戸に抱きしめられても、『好き』と言われても

ドキドキしない――…


「瀬戸……、ご……」