部室の中の恋人

「ねぇ、まみ。マネージャーやろうよ」


雨宮先輩をじぃーっと見つめていた私の耳元で多恵が言う。


「えっ、でも……」

「雨宮先輩に近付けるチャンスだよ」

「だけど……」


雨宮先輩目当ての人は断っているのなら、私もダメじゃん。

はっきり答えを出さない私に


「いつまでも見ているだけでいいの?」


多恵は私の気持ちを知っている。

そして、私の性格も知っている。

だから多恵は、私に雨宮先輩に近付くきっかけを作ろうと、マネージャーの誘いを受けたのだろうけど。


「まみ!多恵!ちょっと来て」


ドアの所から、拓真が手招きをしている。


「ほら、行くよ」


そう言って、多恵は私の腕を掴み、拓真や雨宮先輩達のいるドアの所まで引っ張って行く。