ある日――…


部活も終わり、私と多恵は後片付けをする。

山野先輩は受験生。

だから、私と多恵で大丈夫な時は、先に帰ってもらっている。


グラウンドの片隅にある部室。

部室のある場所の地面はコンクリートで出来ている。

多恵が今日の練習で使ったゼッケンを洗いに行っている間、私はそこに座りボールを黙々と磨く。

しばらくすると、部室の中から、着替え終わった部員達が出て来た。


「まみ、手伝おうか?」

「あっ、瀬戸」


頭の上から声がし、私はパッと顔を上げると、そこにはサッカー部で同じクラスの瀬戸(せと)が目の前に立っていた。


「ありがとう。でも、大丈夫だよ」


そう笑顔で返す。