そして、


「先輩の事、送るって言ったけど、私、ここで失礼します。お疲れ様でした」


私は雨宮先輩に一礼をし、くるっと雨宮先輩に背を向け走り出す。


「ちょっと待って!」


だけど、その声が聞こえたと同時にガシッと腕を掴まれる。


「待って、麻美佳ちゃん」


振り返ると、雨宮先輩は少し痛そうな顔をして、私を見ている。


「先輩!走っちゃダメじゃないですかっ!!」


さっき病院で『走り回るな』と言われたばかりなのに。


「だって、麻美佳ちゃんが逃げるから」


それは、今、雨宮先輩と一緒にいるのが辛かったから。


「ねぇ、麻美佳ちゃん、ちょっと話さない?」


黙る私に雨宮先輩はそう言って、近くの公園を指し、歩き出す――…