部室の中の恋人

それから1年以上が経ち、雨宮先輩は卒業する。


「気持ちを伝えなくていいの?」


多恵にはそう言われたけど……


いきなりボールが飛んできて助けて貰った日と、スケッチをしている時に声を掛けてくれた日。

その日以来、雨宮先輩と話す事はなかった。

だから、

私の事は覚えていない

そう思っていたから。

それ以前に

今、グラウンドで、たくさんの女の子に囲まれている雨宮先輩の所に行って、気持ちを伝える勇気なんてない。

教室の窓から、その光景を見ながら


「うん、いいの」


とだけ答えた。

そして、この見ているだけの片想いも、思い出に変わるんだ

そう思っていた。


だけど、

私の心の中から雨宮先輩が消える事はなく……

公立を受けるとその高校になるっていうのもあったけど

結局、雨宮先輩が通っている高校を受験した――…