部室の中の恋人

それからの私は、雨宮先輩の事で頭がいっぱいになっていた。

今まで、好きだと思った人もいる。

だけど、その人の事で、頭がいっぱいになったり、考えるだけでドキドキしたり。

そんな事はなかった。


その事を多恵に話すと


「恋だね!恋っ!」


そんな風に言っていた。

でも、私は否定していた。

“恋じゃない”

そう思っていたから。


だけど、日が経つにつれて、雨宮先輩への気持ちは強くなっていく。

否定していた私も、さすがに自分の気持ちに気付き出す。

私、雨宮先輩の事、好きなのかも

って……

『何で』とか、『どこが』とか聞かれてもわからない。

『いつから?』って聞かれてもわからない。

ただ、気が付いたら

私の心の中は、雨宮先輩でいっぱいだった。

“雨宮先輩の事が好き”

そう自分の気持ちを自覚したからって、どうこうしようとは思わなかった。

だって、相手は雨宮先輩。

学校中の人から『カッコイイ』と言われている雨宮先輩。

そんな人が私なんかを相手にしてくれるわけがない。

私は見ているだけで十分幸せだった。