部室の中の恋人

「まみー!何描くか決まった?」


振り返ると、私と同じように何を描くか迷っていた多恵がいた。


「って、まみ、どうしたの?顔、赤いよ?」


私の顔を見るなり、多恵はそんな事を言う。


「えっ?別になんでもないよ?」


そう、本当になんでもない。

雨宮先輩に助けてもらい、雨宮先輩を見ていたらその姿を描きたくなっただけ。

ただ、それだけ。


「えぇー?ホントに?」


多恵は、疑いの目で私を見ている。


「本当になんでもないって。ただ、さっきね――…」


別に隠す事でもない。

だから、私はさっきの出来事を多恵に話した。