「そんなに俺と付き合う事、隠したいの?」


隠したわけではない。

私がもっと美人で雨宮先輩と並んでも、誰もが認めるような人なら、堂々と出来るかもしれない。

誰もが認めるような人なら、あの先輩達も何も言って来ないかもしれない。

きっと私だから、あんな事を言われたのだから。


「そういうわけじゃないけど……。でも、雨宮先輩の事好きな人たくさんいるし。私がもしその立場で、先輩に彼女が出来たって知ったら、ショックだろうな、って……」


私は朝の出来事を隠し、必死に訴える。

そんな私を見て


「……わかったよ。麻美佳ちゃんがそうしたいのなら、内緒にしよう」


そう言って、私の頭を撫でる。

だけど、その時の雨宮先輩の表情は、すごく寂しげだった。

雨宮先輩のそんな表情を見るのは嫌だ。

だけど、大好きな雨宮先輩にそんな表情をさせているのは、私。

わかっているけど、私にはその方法しか思い付かない。