どろっぷ 〜笑顔の魔法〜

入学式も無事終了し、私達は教室で担任の先生が来るのを待っていた。

「こーき、あたしトイレ行ってくるね」

私はこくりと頷く。

ニコッと笑うと、あいらちゃんは教室から出て行った。

1人になるのが少し怖かった私は、気持ちを紛らわすため、自分の鞄から朝持ってきたチョコレートのお菓子を出した。

これはあいらちゃんが勧めてくれたお菓子で、「これは絶対こーきの好みだよっ!」と勧められたので買ってみた物だった。

「そのチョコ、すっごく美味しいよ!」

後ろから声を掛けられて、振り向くと、耳上あたりで二つ結びをしている女の子が立っていた。

「今私ね、このチョコの期間限定の胡椒味持ってるんだー!だからさ、一個交換しない?」

そう言って、チョコを一個差し出して来た。

(始めて、声、かけられた…。)

こくりと頷き、自分の持ってるチョコを一個差し出した。

「やったー!ありがとー!私、一ノ瀬くるみ。みんなは”くる”って呼んでるけど、なんでもいいよ〜!」

もう一度こくりと頷いた。

「あれ〜?こーき、もう友達できたの?よかったじゃーん!」

トイレから帰ってきたあいらちゃんが私の隣の席に座った。

「こんちはー。こーきの親友のあいらでーす。よろしくね。」

「始めましてー!一ノ瀬くるみでーす。」

「よろしくー。あっ。そのチョコうまいよねぇー」

「だよねっ!あっ、あいらちゃんにも胡椒味あーげる!」

始めて会ったのに、まるで昔からの友達のように仲良くなった。

「あっ!胡椒味じゃん!俺、塩味持ってるから、こーかんしよー!」

くるみちゃんの後ろから手が伸びてきて、くるみちゃんのチョコレートを一つ掴んだ。

くるみちゃんは慌てて振り向いた。

「ちょっと大輝!勝手に取らないでよっ!」

くるみちゃんの後ろにいる”大輝”と言われる人は、キラキラ光る金髪に片方だけでも5個はあるピアスが目立つ。

いかにも…馬鹿って感じの人だ。

「ごめんごめんーって、朝からメッチャ注目されてた美人ちゃんじゃん!」

ぎくっ!

話の話題に私の名前が出てきて、思わず肩を揺らした。

「いやいや!怖がらないでよぉ〜!俺、そんなに悪い人じゃないから〜」

「どう見ても悪い人だろ!」

そう言って、くるみちゃんは大輝くんの手を叩いた。

「いってー!やめろよ、暴力女!だから彼氏が出来ないんだよーっ!」

「うるさいわねぇ!そのうちできるよ!かっこいい彼が!」

「そのうちっていつだよ!」

2人の口喧嘩を披露されていると、担任の先生が沢山の書類をもって来た。