急いでその場から走って逃げて

梨乃とひよりがいるところに戻った。


「感想きいた?坂本に。こっちも恥ずかしく

なってきてさあ、

“あ、理紗の手首つかんだままやっ!

どうしよう!!”

ってあたしもパニックやったー !」



意外と梨乃も緊張してたんだ…。


あのあと何度か、さかもっちゃんに感想を

聞こうとしたけど、自分の渡した紙に

書いた内容を後の授業中思い出すと、

“なんであんなものを渡す勇気があったん

だろ、あたし。”

とだんだん恥ずかしいことをした

実感みたいなものが

わいてきて、聞かずに終わって

いってしまった。


「自分で…どうですかって…聞いたのに…。」


下書きのルーズリーフの切れ端を

ギュッと握る。あたしのさかもっちゃんへの

いまの思いを詰め込んだ紙切れを…。






【あの日やっと見つけた蝶。捕まえられない

どころか、どんどん遠くなっていく

気がするよ…。

考えすぎるあたしがいるから。

それだから蝶はビックリして逃げちゃうの?

なんて また あたしは考える。

遠い、遠い…君が遠いよ…。】




「こんなのさかもっちゃんに渡したんだ…。」


“小説に使おっかな”って言ったから、

さかもっちゃんは、まさか自分宛だとは

分かってないだろうけど。でも…。

少しは近くなった。

…そう期待してもいいかな?