そうは言ってもさかもっちゃんと1日1回は

会いたい、話したいと思っている

彼女でもない、さかもっちゃんにとってただの

“生徒の中のひとり”である自分に

嫌気がさした。


「どうせ、小説だって渡す勇気でるの、

あたしが卒業する2年後か、さかもっちゃんが

どこか…違う学校に…転勤しちゃうかもしれ

へんやろ…?その時かもしれへんし…。

先生に今言っちゃったら、プレッシャーで

最後まで結局わたせやんかもしれんもん…。

なんで好きになっちゃったのかな…、なんで

こんなに辛いのに好きなのかなっ……?」



1人、部屋で涙をうかべて小説を

まだ渡さないことに決めた。どちらかが

この学校から居なくなるときまでね。



そんな、中学1年生、春の始めの日。