その梨乃の聞いてきたことの意味が分かって
いないあたしは真顔で
「うん。」
と答える。
「…え?だって理紗、それ…」
「あ…あ~~~っ!」
やっと意味がわかったあたしは、血の気が
ひいた。
「やろ?」
梨乃は得意げにこっちを見てくる。
「その代わりタイトル考えてっていうことは
タイトル考えてあげたらあたしの書いた小説
読めるって思って、もしホントにさかもっちゃ
んがタイトル考えてきたとしたら、見せやな
あかんくなるよ。ってこと?」
「そぅそぅ!」
「えー。でもあの人、先生だよ?生徒が書いた
小説、そこまでして読みたいと思ってないやろ
ぉ~。」
「わからんでぇーっ?」
…う…っ。そこまで梨乃に言われると不安に
なってきたよ~っ。一応…、念のためだけど
明日、さかもっちゃんに担任の先生からの
伝言、聞いたかだけ聞いてみよっかなぁ…。
明日聞くとは言っていたけど、その日もその
次の日も…国語の授業が再開するまでずっと
さかもっちゃんと一言も喋るチャンスがなかっ
た。“再開”っていうのは、定期テストが
3日間あって、その間はテストだけ受けたら
帰ることになっていたから、もちろん国語の
授業もしばらくなかったから…。