「先生っ!」
「うぃ~っ。」
6限目の国語の授業が終わった。
このいつもとあたしが「先生っ!」って
さかもっちゃんを呼んで返事が返ってきて
会話が始まる何気ないやりとり。
他の人からしたら、何でもないこの小さな
出来事があたしにとって大きな幸せだったよ。
それで、また今日もさかもっちゃんが
教室から出ていって居なくなる前に
一回でもしゃべりたくって…。教卓前で
さかもっちゃんを呼び止めた。
「えと…。先生…っ。ラブストーリーを…。
書くとしたら、どんなタイトルにしますか?」
「…え。ラブストーリー…?」
どうして突然こんなことを聞きに
行ったのかと言ったら、あたしは今、さかもっ
ちゃんを題材にした小説を書いているんだ。
小説なんて初めて書くからかなり苦戦している
けど、ラブストーリーのタイトルを聞いたくら
いだから、内容を本人が読んだらおもいっきり
“告白”になってしまうような小説。
「…うん。そう、ラブストーリー…ですっ。」
「あんなぁーっ!理紗、すごいんやで!小説
書いとるの!」
ひよりの一言フォロー。