「うん。…渡すよ♪」
もうこの時は、タカトに渡してきっぱり振られ
て終わらせる決意、固まっていたから。
さかもっちゃんのコト苦しいくらい好きなのに
こんなのダメだよね…。終わってる。
名前を出す勇気はなくって、タカトの自転車の
カゴに入れておく作戦。好きだけど、あんまり
喋ったことはなかった。
バレンタイン当日は、結局渡せないまま1日が
終わってしまった。そのあとは、周りに人がい
たり、雪で部活が無くなったりして、渡したく
ても渡せない、そんな日が続いた。
「作ったお菓子…日持ち、明日までかぁ…」
カレンダーを見て、一人、ため息をつく。
2月17日…あの日から3日もたっている。
…こんなので渡したら、お腹壊しちゃうね…。
明日、もう一回作り直してリベンジだっ。
もぅ、区切りつけるための第一歩なんだから。
届かなくてもいい、報われなくったっていい。
ただ、区切ってさかもっちゃん一筋で行きたい
から…。
どっちを選んでも叶わない恋だけどね、
見返りなんて求めないから、先生だけを
好きでいたい。