「理紗ぁー。バレンタインどーするのぉ?」
朝の休み時間、ひよりがこの季節の話題を持ち
かけてきた。
…そっか…明日はバレンタインかぁ。
「んー。どうしよっかなぁ?」
うっすらさかもっちゃんの事を想いながら
そう答えた。
「あの人に渡すの?本命っ!」
…ギクッ。その一言にはびっくり。
さかもっちゃんの事、ばれたかと思ったんだ
もん。だってまだ、梨乃にしか打ち明けてなく
って、そのくらい大事にしておきたかった想い
ただったから。
思わず“えっ!?”とでも言いたそうな顔を
するあたし。
捕まえられないって分かってる蝶なら、大胆な
ことして逃げられる方よりも、そっとしておい
て、何も進まない方をあたしは選んだ。
ひよりの言っている“あの人”はまた別の
人。 たかとって言う人。同じ学年で
同じ陸上部だけど、クラスは違う。
残念なことに彼女さんいるけどね。
どうして、あたしはこういう難しい恋に進んで
しまうのかな…?