「はい、今から始めるよー。号令ー。」
「起立。」
―ガタン。
今日もまたいつもの号令で国語の授業が始まっ
た。
…はぁ…。昨日の夜、考えすぎてまだ頭が
ぼーっとしとる…っ。結局寝付くまでなに考え
てたんやろ…あたし。
後から知ることになる恋の迷路で迷いこみ始め
ていたあたしは、ただただ、ボーッと今日の
授業の内容、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の
思い出」のプリントに目を落とす。
…この話って蝶を好きな人に置き換えたら
ところどころ話成り立ってるー!
そんなこといつもは思わないのに…
こんなことでテンション上がってるとか
昨日夜中まで考えすぎて
頭がおかしくなったみたい…。
そのおかしくなったあたしの頭にさかもっ
ちゃんの声が入ってくる。
…眠いのは…先生のせい…だぞ…。眠っ…たい…。