「何先に行こうとしてんだよ。」


「何って…… 」



なんで先に行かせてくれないの?!



「ほんとに時間ないんだからっ!

手離し───…… 」



私は青斗の方に振り返って
言葉が出なくなった。


青斗の黒くサラサラとした髪が
触れるくらい近くて。


私の目をまっすぐと見つめて来たから──……



「─────・・・自転車。」


「え…っ?」



私から離れ、急にそんなことを言い出す青斗。



「俺前乗るから、衣代は後ろに乗れよ。」


「!? わっ…私二人乗りなんてしたこと… 」


「───早く乗れって。」


「……っっ」



青斗って……いつもこんな感じだった?



「青斗……不安定で怖いんだけど…… 」


「俺に掴まってれば落ちねーよ。」



やっぱり、いつもと違う────・・・