スタートして
すぐにグランドに何枚も
ひっくり返されているボードを
一つ手に取り見た。



【特別なもの】



そう書かれていた。



特別なもの……?


誰のでもいいんだよね………



あたしは観客席にいる人に


「特別なもの貸してください!」


そう叫んだ。



だけど、みんなレースを見るのに必死で聞いていない。


それに、特別なものなんて…
難しいよ………



どうしよ………




「ん。」



焦っているとあたしの前に
ゴツゴツした男の人の手が
差し出された。