ねぇ、こっちむいて。


皐月ちゃんに丸めたノートで頭をバコンと叩かれる。

痛い!と抗議したら無言であっかんべーされた。



ふいに、机の上にシャー芯が乗っかった。

不思議に思って見上げると、相変わらずの仏頂面で、だけど耳だけは緊張で赤く染まった小鳥遊君がいた。



「え?小鳥遊君これ……」

「シャー芯」

「うん。見ればわかるけど…?」

「…忘れたんだろ。使えよ」

「えっ、でも悪いよ?」

「なかったら困るだろ。いいから使っとけ。…いらなかったらいいけど」



どうやら、さっきまでの私たちのやりとりを聞かれていたらしい。

ぶっきらぼうな優しさにキュンとする。…ん?キュン?



「えっと、じゃあありがとうございます?」

「……なんで疑問形」

「なんとなく」



さっきは皐月ちゃんだから5本ちょーだいとかなんとか言えたけど、さすがに小鳥遊君から5本も芯を奪い取るのは忍びない。

別に皐月ちゃんを下に見ているわけではない。それだけ気のおける友達ということだ。


とりあえず1本だけ抜き取って「ありがとう」と返すと、小鳥遊君は不思議そうに眼をぱちぱちさせた。

え、なに?



「1本でいいのか?」

「え?うん」

「少なすぎだろ。どうせまたすぐ無くなんだから多めにもらっとけよ。ほら」



そう言って小鳥遊君はもう2本シャー芯を渡してきた。

なんだか気を使わせてしまったみたいで申し訳ない。