ねぇ、こっちむいて。


違うんです皐月ちゃん。

私は断じて宿題を忘れていたわけではないんです。ちゃんと昨日やったんだよ。

真面目に頑張ったし辞書も使って調べたんだよ。二時間もかけたの。

それでもわからなかったんだよ。この宿題のプリントの空欄(しかも半分以上)はそういうことなの……!



憐みと蔑みが混じった視線を向けてくる皐月ちゃんに心の中で弁明してみる。


声に出して言ったところで皐月ちゃんは「いいから早く空欄埋めなよ」と言ってくるだけだ。

毎日思うんだけどそれ友達に対する態度じゃないよね。

皐月ちゃん私に対して冷たくない!?




「小鳥遊!おーっす!」

「朝練お疲れ、小鳥遊」


「おー。はよ。」




どきん


ぼきん



いきなり隣から聞こえた声に思わずシャー芯を折ってしまった。

「なにしてんの」と言いたそうな目で見てくる皐月ちゃんを無視して、カチカチとシャーペンをノックする。

……あれ?


カチカチカチ、と何回もノックしてみても一向に芯は出てこない。なんと。

筆箱の中を漁ってみるがシャー芯は入っていない。

そうだ、そういえば昨日切れたんだった。買いに行かなきゃと思ってそのまんま忘れていた。




「皐月ちゃあん」

「え、やだ」

「まだなんにも言ってない!」

「目と目で通じ合う~♪」

「それ多分大半の人わかんないから!てゆーかシャー芯くらい貸してくれたっていいじゃん!ケチ!」

「……ケチ?あっそ~、ふ~ん。へ~…」


「ごめんなさいケチじゃないです!皐月さまシャー芯5本恵んでください!」

「多い!遠慮しなさいよ!」