ねぇ、こっちむいて。


席替えって、学生にとっては一大イベントだと思う。


仲いい子と近くになれるかなあとか、好きな人と隣同士になれるかなあとか。

それら二つはそもそもクラスメイトとじゃないと成り立たないんだけど、どっちにしても後者は私には関係ないと断言できる。


だって、まだ恋なんて一回もしたことないもん。



恋に興味がないとかそういうわけじゃない。

むしろ漫画の様な素敵な恋がしてみたい、と考える私は少女漫画信者。

流石にモデルとかアイドルとか芸能人と秘密の恋を…なんてことは夢見てないけど。

私のことを大好きでいてくれる相手がいて、私も相手が大好きで、一緒に居るとなんだかほっこりする。それだけで素敵な恋愛だと思うのです。

だから決して理想は高くないと思うんだけど……なんでかなぁ?



そんな恋に恋する私、高畑初(たかはたうい)の隣の席は小鳥遊涼(たかなしりょう)君でした。





日本史の時間、板書をノートに写しながらちらりと隣の席を見やった。


小鳥遊君は真剣な表情でノートをとっていた。普段はかけていないメガネ姿が新鮮だ。目悪いのかな?


小鳥遊涼。きっと校内でも有名人。

うちの学校はバスケの強豪校で、IHでも何度も優勝経験がある。冬のWCも然り。

小鳥遊君はそんな男バスのキャプテンで、雑誌に載るほど有名な選手だと聞いたことがある。残念ながら私はバスケにそんなに興味がないのでわかりません。

当然、運動神経も良い。且つ頭が良くて、テストでは毎回トップ5に入っている。

ちなみに私の頭の出来は下から数えたほうが早いというレベル。

これを言うと必ずみんなに驚かれる。どうやら私は外見は頭がよさそうに見えるらしい。「なんでそんな順位が低いの?!」と言われるがなんでと言いたいのはこっちの方だ。授業の予習復習はちゃんとしているのに。努力が結果に出ない人間の象徴なんです私は。



なんであんなに頭いいんだろう。ノートに秘密があるのかな?ぜひ貸して見せていただきたいものだ。


そう思いじっと小鳥遊くんを見つめていると、視線を感じたのかふいに小鳥遊君が顔を上げた。




あ、目が合った。



どうしたらいいかわからずとりあえずへらっと笑っておいた。

が、なぜかマッハで視線をそらされた。



え、……なに?


もしかして私……嫌われてる?

なにかしたかなぁ。高校生活三年目に入るけど、私と小鳥遊君は同じクラスになったのは今年が初めて。

嫌われるようなことはしていないはずだし、そもそもまだ一回も話したことがない。



ショックだなぁと思いながら小鳥遊くんの固そうなツンツンしてる黒の短髪を見つめていた。