「で?これからどうすんの?」


感激しながら、プチトマトを口に放り込むと優香がそんなことを聞いてきた。


「どうするのって?」


「小笠原くんのことよ。付き合うの?」


「…付き合わないよ…。純也くんも付き合う気はないみたいだし…。それにあたしは圭が…」


正直なところ、自分の気持ちがよくわからない。


純也くんのことを意識してないわけではないけど、意識する=好きってことにはならないと思う。


あたし自身、いろいろな気持ちが混ざり合ってごちゃごちゃになってる。


「…ほんとに、林檎はまだ幼馴染くんのこと好きなわけ?」


「え…?」


「自分に言い聞かせてるようにも見えるけど」


言い聞かせてる…?

…ううん、それはないと…思う。


だって、圭の近くに寄ればドキドキするし、圭となんかあるたび一喜一憂してる。


これは好きって感情だよね…?


…でも、どうなんだろう…?


優香にそう言われると、ほんとに自分は言い聞かせてるだけなんじゃないかって思い始めてくる。


けど、言い聞かせる理由がない。


頭の中、全然整理出来てなくて…、ぐるぐるしてる…。



「…正直、よくわからないよ…。圭のことは好き。けど、これがほんとに恋愛感情なのかもわかんなくなってきたし…。純也くんのこと意識してるのも確かだし、あたし自身が何もわかってないの…」


思わず俯く。

自分の気持ちをはっきりすることが出来なくて、イライラする。


うう、と弱気になっていると頭にぽんっと手が置かれた。


「ま、そんな悩まなくても大丈夫なんじゃないの?そういう悩みは時間が解決してくれるはず。別にタイムリミットが明日ってわけじゃないんだし、気がすむまで悩めばいいんじゃない?」


「優香…」


「自然に、何も深く考えすぎずに2人と接してれば嫌でも自分の気持ちに気づくはずだよ。なんかあれば私がいるんだし」


優香の言うことは、いつも説得力があって、どんな悩みも一瞬で解決してしまう。


今回も、今の優香の言葉ですごく胸が軽くなった気がする。


「優香ぁ〜!ありがとう!」


「全く…、林檎はほんと、私がいないとダメなんだから」



泣きそうになっているあたしの頭を撫でながら、優香は満足そうに微笑んだ。