「お待たせ」


次の日、金曜日。


あたしは言われた通り、11時ちょっと前から家の前で待機していた。

みんなは普通に学校だから、歩いてる学生は誰一人いない。


朝、圭にも「学校休むね」と連絡を入れておいた。


メールの返信ではなく、電話がかかってきて昨日のことをめちゃくちゃ謝られた。


一晩ちゃんと考えてみたら、俺言いすぎてた、ごめんねって。


変に意地を張らないで、ちゃんと謝ってきれくれるのが圭の良い所だ。


あたしも、寝たら怒りなんてどっか行っちゃってたし。


「はいこれ、ヘルメット」


その声にハッとし、差し出されたピンク色のヘルメットを見る。


…ぴ、ピンクって……。

純也くん、こんなの被っていつもバイク乗ってたの…?


「…言っておくけど、それ俺のヘルメットじゃないから。姉ちゃんのだから」


あたしの心の声が聞こえたのか、純也くんがジト目で睨んできた。


なるほど…、お姉さんのだったら納得がいく。


それにしても、お姉さんいたんだ。


姉弟揃ってバイクっていうのもかっこいいな。


なんて思いながら、ヘルメットをつける。