「圭はあたしの彼氏だよ?!虹華ちゃんとなんて帰るわけないじゃない!」
立ち上がり机をバンと叩くと、思い切り声を荒げそう言ってしまった。
びくっと肩を揺らす虹華ちゃんに、やっと今の状況に気づいたのか驚いた顔をしている圭。
仮の彼氏なのに、何を言ってるんだあたし。
でも、仮でも周りからすればあたしと圭は付き合ってるわけで。それなのに圭と虹華ちゃんが一緒に帰るなんておかしい話。
虹華ちゃんは一瞬怯んだようにも見えたが、結構気の強いほうですぐあたしに反論してきた。
「でも前は帰ってくれたもん!私の方が家遠いんだし、林檎ちゃんが一人で帰ればいいでしょ?!」
…そういう問題じゃないんだよ、虹華ちゃん。
圭の前で、こんな言い争い何てしたくないのに、あたしの口は止まってくれなかった。
「そんな考え、子供だよ!あたしが圭と二人で居たところに割り込んできたのは虹華ちゃんでしょ?!邪魔してきたのは虹華ちゃんなんだよ!邪魔しないで明るいうちに早く帰って!!」
怒りに任せ、ひどいことを言ってしまった。
虹華ちゃんの大きな目は、みるみる内に涙でいっぱいになっていき、ついにはぽろっとこぼれた。
「林檎ちゃんのばか…!」
そう呟いて、虹華ちゃんはカバンを持って泣きながら教室を出て行った。
シン、となる教室。
どことなく気まずい雰囲気が流れる。
沈黙の中、圭が静かに口を開いた。
「…林檎、いくらなんでも今のは言い過ぎだよ。虹華は好意で手伝ってくれるって言ってくれたんだ。それなのに邪魔はないだろ」
…わかってる。今のはどうみても、あたしが悪い。
でも、つらい。こんな時まで虹華ちゃんのことを思う圭がつらい。

